Text by タムタム(西粟倉村 移住コーディネーター)
西粟倉村に来て10ヶ月。 外から見ていた景色と、中で見る景色は全く違いました。
「ローカルベンチャーの聖地」 「奇跡の村」
メディアで踊るそんな言葉に惹かれてやってきた私を待っていたのは、キラキラした楽園ではなく、「制度の墓場」と化した現場でした。
今日は、あえてタブーに触れます。 なお、このメディア(nishiawakura.com)は役場の公式サイトではなく、私たち協力隊有志が運営しています。だからこそ、忖度なしの「不都合な真実」を書きます。
これから移住やローカルキャリアを考えているあなたに、どうしても知っておいてほしい現実があるからです。
聖地のバックヤードは、制度の墓場だった
単刀直入に言います。 現在、この村にある移住・定住関連の施策や補助制度。 その多くは、機能していません。
国の予算はついている。でも、誰にも使われていない。ひどいものになると、村民はおろか、現場の人間ですら「そんな制度あったっけ?」と首をかしげる状態です。
あるのは、難解な言葉で書かれたPDFファイルだけ。 Webサイトの奥底に埋もれ、検索にも引っかからず、静かにホコリを被っている。
これが「聖地」と呼ばれる村の、偽らざるリアルです。
なぜ「死に体」の制度が量産されるのか?
誤解しないでほしいのは、これは誰かの怠慢や悪意によるものではない、ということです。 構造的な「ミッシングリンク(欠けた鎖)」があるのです。
1. 自治体側(作る人)の限界 行政のミッションは「予算を獲得し、制度を作ること」で完了しがちです。 しかし、限られた職員数で膨大な業務を回しているため、「新たな制度を作る」をはじめとして、その制度を「使いやすく周知する(マーケティング)」や「ユーザー体験を整える(UI/UX)」という実務に割くリソースが物理的にありません。
当然、その道のプロでもありません。
2. プレイヤー側(使う人)の不在 一方、移住者や起業家は、自分の事業で手一杯です。 役場の棚の奥にある「使えるかどうかわからない制度」を、わざわざ解読してハックする余裕なんてありません。
結果、「仏(ハコ)」を作っても魂が入らず、「経典(制度)」があっても読み解ける人がいない。
互いに「支援が足りない」「成果が出ない」と嘆き合う、不幸なすれ違いが起きています。
これは「絶望」ではなく「埋蔵金」だ
でも、私はこの状況を見て、絶望したわけではありません。 むしろ、可能性を感じました。
なぜなら、「まだまだ伸び代がある」ということだからです。
これは、実務家にとっては「埋蔵金」です。
- 難解な要綱を、誰でもわかる言葉に「翻訳」する。
- 申請フローを、スマホで完結できるように「再設計」する。
- 必要な人に、必要なタイミングで情報を届ける「導線」を引く。
この「ドブさらい」のような地味な実務(チューニング)を行うだけで、死んでいた制度が息を吹き返し、お金が回り、人の生活が良くなる。 成果がダイレクトに出る。これほど面白い仕事場はありません。
求む、制度の「蘇生担当医」
だから今、西粟倉村が求めているのは、「村を救う画期的なアイデア」を語るヒーローではありません。
「ドブに詰まったアイデア」を消化し、再起動できる「圧倒的な実務家」です。
- 華やかなプレゼンよりも、地味なフロー図を書くのが好きな人。
- 「なんでこうなってるの?」と違和感を見つけ、それを放置できずに直してしまう人。
- エンジニア、編集者、PM……職種は問いません。必要なのは「動かないものを動かす」マインドセットです。
ここには、「正解」はありません。 あるのは、手付かずの「未開拓領域」だけです。
最後に、笑えないオチがあります
ここまで読んで、「よし、その『制度の蘇生』やってやろうじゃないか」と思ってくれたあなた。 たぶん、あなたは今、募集要項のリンクを探していますよね?
残念ながら、ありません。
なぜなら、「この問題を解決する人材を募集するための協力隊募集要項を作る実務機能」すら、今の西粟倉村には足りていないからです。
これが、この村の現在地です。笑ってしまうほどの実務不全です。
だから、今回は「ハッキング採用」を行います。
もしあなたが本物の実務家なら、決まった応募フォームがないことくらいで諦めないはずです。
- 私(タムタム)のSNSにDMを送りつける。
- サイトの問い合わせフォームから、「移住施策の件」とねじ込む。
- どうにかして連絡先を見つけ出し、履歴書を送りつける。
手段は問いません。「募集ページがないなら、直接連絡すればいいだけですよね?」そう言って現れるあなたを、私は待っています。
この「入り口のない入り口」を突破できた時点で、あなたの一次面接は合格です。
【連絡先】 タムタム(田村 伶) Threads/Instagram : @tamtam_nishiawakura(まずは「記事読んだ」とDMください)
